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症 状 |
ノロウイルスに感染してから発症するまでは概ね24〜48時間で、主な症状は吐き気、嘔吐、下痢、腹痛です。発熱は軽度です。一般の人の場合これら症状が2〜3日続きますが、特別な治療をしなくても次第に良くなります。また、感染しても発症しない場合や軽い風邪のような症状しかでない場合もあります。ところが、子どもやお年寄りなどでは脱水症状等、重症化したり、吐ぶつが気道に詰まって死亡することがありますので注意が必要です。 |
診 断 |
ノロウイルス感染症の診断を臨床症状等で診断することは困難です。ノロウイルスの検出は、これまで電子顕微鏡で直接確認する方法、ノロウイルス遺伝子の一部を増幅するRT-PCR法、医療施設での検査が可能なEIA法が知られています。昨年開発された、イムノクロマト法を用いた抗原検出用キットでは更に簡便になり、特殊な機器を使用せずに反応時間15分で検出することができます。しかしながら、残念なことにいずれの検査も厚生労働省が保険を使っての検査を認めてくれないため患者様の実費となってしまいます。 |
治 療 |
ウイルス性の疾患の治療の基本は対症療法です。つまり、個々の症状を緩和するお薬を処方します。また、どの病気でも共通して言えることですが、自宅で体を休めること(不必要に他人と接触しない)は、他の人に病気を伝染させないという意味でも大変重要なことです。一般的には以下のような点に!注意!すると良いでしょう。
@ 早めに医療機関を受診してアドバイスを受けましょう。
A 安静にして、休養をとりましょう。特に睡眠を十分にとることが大切です。
B 水分を十分に補給しましょう。(発熱等で思った以上に脱水しています)
下痢止め薬は、病気の回復を遅らせることがあるので使用しないことが望ましいでしょう。(感染症の下痢は体外に病原体を排出する為の大切な生態反応です) |
予 防 「ノロウィルスに感染しない」予防が大切です! |
ノロウイルスのワクチンは現在ありません。ですから感染の予防は自己管理ということになります。ノロウイルスの感染経路は大きく分けると【@ 食品】 【A 感染者】の二つになります。
食品からの感染を防ぐためには
食品の中心部までしっかり加熱すること ・ 使用した調理器具などをきちんと洗浄すること
感染者からの感染を防ぐには、大量のウイルスが含まれるふん便や吐ぶつを適切に処理し、手洗いを励行することがポイントです。
具体的な要領
@ 加熱処理の方法
ノロウイルスの失活化の温度と時間については、食品の中心温度85℃以上で1分間以上の加熱を行えば、感染性はなくなるとされています。
A 手洗いの方法
手洗いは、帰宅した時、調理を行う前、食事の前、トイレに行った後、下痢等の患者 のふん便や吐物の処理やオムツ交換等を行った後(手袋をして処理した場合も)に は必ず行いましょう。
指輪等をはずし、石けんを十分泡立て、ブラシなどを使用して爪 の間や指の又も洗浄します。流水で十分すすぎ、できれば使い捨てのペーパータオ ルで拭きます。
B 汚物や調理器具の殺菌
通常消毒に使用される、アルコールや逆性石鹸はあまり効果がありません。
一番効果があり一般のお宅で容易に手に入るものは、塩素系漂白剤である次亜塩素酸ナトリウムです。(ハイターとかブリーチとか) 患者のふん便や吐ぶつを処理する際には、マスクと手袋を着用し汚物中が飛び散らないように、ふん便、吐ぶつをペーパータオル等で静かに拭き取ります。拭き取った後は、次亜塩素酸ナトリウム(塩素濃度約200ppm)で浸すように床を拭き取り、その後水拭きをします。おむつ等は、速やかに閉じてふん便等を包み込みます。おむつや拭き取りに使用したペーパータオル等は、ビニール袋に密閉し廃棄します。 この際、ビニール袋に廃棄物が充分に浸る量の次亜塩素酸ナトリウム(塩素濃度約1,000ppm)を入れることが望ましい。
調理器具等は洗剤などを使用し十分に洗浄した後、次亜塩素酸ナトリウム塩素濃度 200ppm)で浸すように拭くことでウイルスを失活化できます。 また、まな板、包丁、へら、食器、ふきん、タオル等は熱湯(85℃以上)で1分以上の加熱が有効です。
※塩素濃度の簡単な調整法
500mlのペットボトルに、ペットボトルのキャップ1杯(約5ml)の塩素系消毒液を入れると100倍希釈になり、500ppmの消毒液になります。これを約2倍強の水で薄めれば嘔吐物を洗い流した床や飛沫した恐れがある周囲の床などの消毒に適した約200ppmの消毒液になります。ペットボトルのキャップ2杯(約10ml)の塩素系消毒液 を入れると50倍希釈になり、ウイルス濃度の濃い場所の消毒に使用する1000ppmの 消毒液になります |
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